日本の職場において、遅刻・早退・体調不良の連絡は、ビジネスマナーの基本として非常に重要です。適切な伝え方ができるかどうかで、職場での信頼関係や評価が大きく変わってきます。本記事では、それぞれのシチュエーションごとに、具体的な伝え方やマナー、注意点を詳しく解説します。
遅刻の伝え方

基本原則:できるだけ早く連絡する
遅刻が分かった時点で、すぐに連絡することが最も重要です。「もう少し頑張れば間に合うかも」と連絡を遅らせるのは厳禁です。遅刻の可能性が高いと判断した時点で、できるだけ早く上司に連絡しましょう。
連絡方法の選択
電話が基本です。メールやチャットツールは相手が見ていない可能性があるため、緊急性の高い遅刻連絡には不適切です。ただし、会社によってはSlackやTeamsなどのビジネスチャットを推奨している場合もあるので、職場のルールに従いましょう。
具体的な伝え方の例文
交通機関の遅延の場合
おはようございます。〇〇です。申し訳ございません。現在、△△線が人身事故の影響で運転見合わせとなっており、出社が遅れる見込みです。現在××駅におりまして、復旧次第向かいますが、到着は10時頃になる見込みです。午前中の○○会議については、資料を共有フォルダに入れてありますので、先に進めていただけますでしょうか。
寝坊してしまった場合
おはようございます。〇〇です。大変申し訳ございません。寝坊してしまい、出社が遅れます。現在準備中で、10時には到着できる予定です。本日午前中の業務については、午後に取り戻せるよう対応いたします。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
遅刻時の重要ポイント
- 到着予定時刻を明確に伝える:「遅れます」だけでなく、「◯時頃到着予定です」と具体的に伝えましょう。
- 業務への影響を考慮した提案をする:その日の予定や会議、締切のある業務について、代替案や対応策を伝えると良い印象を与えます。
- 言い訳をしない:交通機関の遅延は仕方ありませんが、それ以外の理由の場合は言い訳をせず、簡潔に理由を述べて謝罪しましょう。
- 到着後は必ず謝罪する:出社したら、直接上司や関係者に改めて謝罪することを忘れずに。
早退の伝え方

事前に分かっている場合
病院の予約や家庭の事情など、事前に早退が分かっている場合は、**できるだけ早く(最低でも前日まで)**上司に相談しましょう。
伝え方の例
〇〇課長、お時間よろしいでしょうか。実は来週の火曜日、持病の定期検診がありまして、15時頃に早退させていただきたいのですが、よろしいでしょうか。午前中に△△の業務を完了させ、残りは翌日対応する予定です。
急な体調不良などで早退する場合
体調が悪化した時点で、我慢せずに上司に相談することが大切です。無理をして仕事を続けても、パフォーマンスが落ちるだけでなく、周囲に病気をうつしてしまう可能性もあります。
伝え方の例
課長、申し訳ございません。朝から体調が優れず、このまま業務を続けるのが難しい状態です。大変恐縮ですが、早退させていただいてもよろしいでしょうか。進行中の○○の件は、現在の状態をメモにまとめて共有いたします。明日の出社については、帰宅後の状態を見て改めてご連絡いたします。
早退時の重要ポイント
- 業務の引き継ぎを明確にする:担当している業務の状況、締切、必要な対応などを整理して伝えましょう。
- 翌日の出社について言及する:「明日は通常通り出社します」または「明日の状況については後ほどご連絡します」など、今後の予定を伝えましょう。
- 感謝の気持ちを伝える:「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」と、配慮への感謝を示しましょう。
体調不良で欠勤する場合の伝え方

連絡のタイミング
始業時刻の30分~1時間前までには連絡するのが理想です。前日の夜に体調不良を感じた場合でも、当日朝の状態を確認してから連絡するのが一般的です。ただし、インフルエンザなど明らかに出社できない状況であれば、前日の夜でも連絡して構いません。
連絡方法
遅刻と同様、電話が基本です。体調が悪くても、メールやメッセージだけで済ませるのは避けましょう。どうしても電話ができない状態であれば、家族に代わりに連絡してもらうことも検討しましょう。
具体的な伝え方の例文
一般的な体調不良の場合「おはようございます。〇〇です。申し訳ございません。昨夜から発熱があり、現在38度の熱があります。本日はお休みをいただき、病院を受診したいと思います。進行中の○○プロジェクトの件は、昨日の時点で資料を共有フォルダに保存してありますので、必要に応じてご確認ください。明日の出社については、診察後に改めてご連絡いたします。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
感染症の疑いがある場合
おはようございます。〇〇です。申し訳ございません。昨夜から高熱と咳の症状があり、インフルエンザの可能性があるため、本日お休みをいただき、すぐに医療機関を受診いたします。診断結果については、受診後速やかにご報告いたします。業務については、△△さんに昨日の時点で進捗を共有しておりますので、急ぎの対応が必要な場合はそちらにご確認ください。
体調不良時の重要ポイント
- 症状を具体的に伝える:「体調不良」だけでなく、「発熱」「腹痛」「頭痛」など、具体的な症状を伝えましょう。感染症の可能性がある場合は特に重要です。
- 医療機関を受診する意思を伝える:診断書が必要な場合もあるため、受診予定を伝えることは重要です。
- 業務の状況を報告する:担当業務の進捗状況、引き継ぎ事項、急ぎの対応が必要な案件などを簡潔に伝えましょう。
- 復帰予定について言及する:「明日の出社については、本日の状態を見て改めてご連絡します」など、今後の見通しを伝えましょう。
- 経過報告を忘れない:病院での診断結果や、翌日の出社可否について、その日のうちに改めて連絡しましょう。
連絡時の言葉遣いとマナー

謝罪の表現
日本の職場では、遅刻や欠勤の際の謝罪は必須です。ただし、過度に卑屈になる必要はありません。
- 「申し訳ございません」
- 「ご迷惑をおかけいたします」
- 「大変恐縮ですが」
これらの表現を適切に使いましょう。
クッション言葉の活用
依頼や報告の際には、クッション言葉を使うことで、より丁寧な印象を与えられます。
- 「恐れ入りますが」
- 「お忙しいところ申し訳ございませんが」
- 「大変恐縮ですが」
避けるべき表現
- 「多分」「たぶん」などの曖昧な表現
- 「ちょっと」「けっこう」などのカジュアルすぎる表現
- 言い訳がましい長々とした説明
職場ごとのルールの確認
会社や部署によって、連絡方法や手順に独自のルールがある場合があります。
確認すべき事項
- 連絡手段:電話、メール、チャットツールなど、推奨される方法
- 連絡先:直属の上司か、人事部か、チーム全体か
- 連絡時間:始業何分前までに連絡すべきか
- 診断書の要否:何日以上の欠勤で診断書が必要か
- 代理の業務処理:不在時の業務は誰がカバーするか
入社時や部署異動時に、これらのルールを確認しておくことが大切です。
信頼を失わないための心構え

日頃からの準備
- 業務の可視化:自分が不在でも業務が回るよう、進捗状況を常に共有しておく
- 引き継ぎ資料の整備:急な欠勤に備え、業務マニュアルや資料を整理しておく
- 健康管理:規則正しい生活や体調管理を心がけ、そもそも遅刻や欠勤を減らす努力をする
誠実な対応
- 嘘をつかない:理由を偽ると後で信頼を失います
- 繰り返さない:同じ理由での遅刻・欠勤が続くと、評価に影響します
- 感謝の気持ち:フォローしてくれた同僚や上司への感謝を忘れずに
特殊なケースへの対応
家族の介護や看護
家族の体調不良で欠勤する場合も、正直に伝えて問題ありません。
申し訳ございません。子供が急に発熱し、病院に連れて行く必要があるため、本日お休みをいただけますでしょうか。配偶者とも調整しましたが、本日は私が対応する必要があります。
メンタルヘルスの問題
精神的な不調の場合も、無理せず休むことが大切です。詳細を伝える必要はありませんが、「体調不良」として伝えて構いません。
災害や緊急事態
台風や地震などの災害時は、安全を最優先にし、状況が落ち着いてから連絡しましょう。
まとめ
遅刻・早退・体調不良の連絡は、社会人として避けられない場面です。重要なのは、迅速で誠実な対応と業務への影響を最小限にする配慮です。
- 早めの連絡:分かった時点ですぐに連絡する
- 明確な情報:理由、到着時刻、復帰予定などを具体的に伝える
- 業務への配慮:引き継ぎや代替案を提示する
- 適切な謝罪:誠意を持って謝罪し、感謝の気持ちも伝える
- 事後対応:出社後や復帰後は改めて謝罪し、フォローしてくれた人に感謝する
これらのポイントを押さえることで、やむを得ない遅刻や欠勤であっても、職場での信頼関係を維持することができます。日頃から健康管理や時間管理に気を配りつつ、万が一の際には適切な連絡ができるよう、心構えをしておきましょう。
職場は相互の信頼関係で成り立っています。誠実な対応を心がけることで、長期的なキャリア形成においてもプラスに働くはずです。










