TSMCの熊本進出をきっかけに熊本県への外国人労働者の受け入れが増加しましたが、今後さらに外国人労働者の需要が高くなり、自治体や企業による受け入れ体制の強化によって、以前に比べてさらに働きやすい環境が作られることが予想されます。
実際に熊本県の外国人労働者の人口は増加しており、支援や受け入れ体制の強化も顕著に表れています。
本記事では、TSMCの進出によって大きく状況がわかっている熊本県の外国人労働者の人口推移や支援状況、受け入れ体制などについて詳しく紹介します。
熊本県の外国人労働者の人口の推移
2025年に発表された2024年度の熊本県における外国人労働者の人数は、過去最多となる21,437人となりました。
2023年度の熊本県における外国人労働者の人数についても過去最多となる18,226人という結果となったため、2024年度の外国人労働者は前年度比3,211人も増加しており、非常に多いペースで熊本県の外国人労働者の人数が増えていることがわかります。
熊本県の外国人労働者についての調査は2007年から開始されましたが、年々増加傾向にあり、今後さらに熊本県ではたらく外国人労働者は増加することが予想されます。
(参照:厚生労働省 熊本労働局「令和6年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果(令和6年 10 月末時点) 」/厚生労働省 熊本労働局「令和5年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果」)
熊本県で外国人労働者が増加している理由はTSMC
先ほどもお伝えしたとおり、熊本県における外国人労働者は増加していますが、大きな要因として挙げられるのが、半導体ファウンドリ(受託生産)市場で世界トップのシェアを誇る「TSMC(台湾積体電路製造)」の日本(熊本県)への進出が挙げられます。
TSMCの進出によって深刻な労働不足が問題視されるなか、人手不足を補うために外国人労働者を積極的に採用する企業が増加するとともに、自治体も外国人労働者が熊本で生活しやすいようにサポートする体制を作る動きが見られたのです。
このような熊本県内の動きから、外国人労働者は10年前(2015年)に比べて2.7倍ほどまで受け入れが広がっています。
(参照:讀賣新聞「TSMC進出で熊本県内の在留外国人急増、10年前と比べ2・7倍…「仕事を任せやすい」積極雇用する企業も」)
熊本県の外国人労働者に対する支援状況
熊本県では外国人労働者が生活しやすいように、さまざまな支援体制が作られています。
たとえば、熊本県が”外国人材から選ばれる熊本”を掲げて作った「熊本県外国人材との共生推進本部」では、「熊本県外国人サポートセンター/台湾相談ホットライン」や「熊本県多文化共生環境整備支援事業」など、外国人労働者が生活しやすい整備が進められています。
ほかにも、さまざまな生活サポートや各種行政手続きの円滑化などが進められているため、日本での初めての生活であっても過ごしやすいような支援強化が進められているのです。
具体的な支援状況は以下を確認してみてください。
(参照:熊本県「熊本県外国人材との共生推進本部(特設ページ)」)
熊本県企業の外国人受け入れ体制
熊本県企業の外国人労働者の受け入れ体制は拡大しており、2024年度の熊本県における外国人労働者を受け入れている企業数は3,982事業者となっており、2023年度の3,578事業者を大きく上回る結果となりました。
このように熊本県では外国人労働者の受け入れ強化が進んでいる一方で、外国人労働者の孤独や言語の壁などによる精神的なサポートが問題視されるようになっています。
外国人労働者は単身で日本に来ているという方も少なくなく、周囲に同じ言語を持つ人の友人やコミュニティがない場合は孤独になってしまうことも珍しくなく、精神的な負担が問題視されていました。
このような課題を解決するため、熊本県内の事業者が外国人労働者の精神面のサポートも充実させる動きが活発になっており、夫婦での受け入れをしたり、同じ国籍の外国人労働者を複数人雇用するといった動きも見られています。
このように熊本県における外国人労働者の受け入れは拡大しており、受け入れにおける課題解決にも活発な動きが見れているのです。
(参照:厚生労働省 熊本労働局「令和6年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果(令和6年 10 月末時点) 」/厚生労働省 熊本労働局「令和5年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果」/讀賣新聞「TSMC進出で熊本県内の在留外国人急増、10年前と比べ2・7倍…「仕事を任せやすい」積極雇用する企業も」)
TSMCは2030年までに拡大すると予想される
半導体研究の第一人者である黒田忠広さんが理事長を務める熊本大学において、”半導体関連の人材育成に向けた新たな学部の設置を検討しており、2030年までに優秀な人材を排出する”ということを木村熊本県知事および黒田忠広理事長が発表しました。
2030年という時期については、TSMCが検討しているという第3工場の完成が2030年ごろと予想されており、第3工場の完成に伴う大きな人材不足を解消するために人材育成を行うということになります。
このような動きは熊本大学だけではなく、県立熊本短期大学校の「半導体技術科」や県立水俣高校の「半導体情報科」というように、いくつかの教育機関で半導体を専門的に扱う学科の新設も進められているのです。
(参照:テレビ熊本「熊本県立大学が『半導体関連学部』の設置を検討 半導体研究の第一人者・黒田忠広さんが理事長 TSMC進出の熊本県で人材育成を強化」)
TSMC関連の外国人労働者に関するよくある質問
TSMC関連の外国人労働者に関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。
Q1.熊本県の外国人労働者の国籍はどこが多いですか?
熊本県の外国人労働者の国籍別在留資格の状況は以下のとおりです。
| 国籍 | 人数 | 割合 |
| ベトナム | 6,259人 | 29.2% |
| フィリピン | 3,162人 | 14.8% |
| インドネシア | 2,890人 | 13.5% |
| 中国(香港・マカオ含む) | 1,944人 | 9.1% |
| ミャンマー | 1,776人 | 8.3% |
| ネパール | 1,228人 | 5.7% |
| 台湾 | 1,030人 | 4.8% |
(参照:厚生労働省 熊本労働局「令和6年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果(令和6年 10 月末時点) 」
Q2.熊本の外国人労働者はどんな在留資格を取得していますか?
熊本県の外国人労働者の在留資格でもっとも多いのが「技術実習」となり、全体の約半数となる10,758人(50.2%)の外国人労働者が技術実習という在留資格を取得して日本で労働しています。
技術実習についで多い在留資格は「専門的・技術的分野の在留資格」となり、6,945人(32.4%)、「身分に基づく在留資格 1」が1,990人(9.3%)という順番となります。
また、「専門的・技術的分野の在留資格」のなかでも「特定技能」を取得した外国人労働者数は3,745 人となっており、2023年度の特定技能を取得した外国人労働者(1,237人)と比較して49.3%増加していることも分かっています。
(参照:厚生労働省 熊本労働局「令和6年「外国人雇用状況」の届出状況集計結果(令和6年 10 月末時点) 」
Q3.熊本県では新しく工業団地が作られますか?
熊本県菊陽町では、2031年度に分譲を開始するために、TSMCの第1工場の南側に新しく工業団地を整備することが明らかになっています。
TSMCはすでに第2工場の建設が2025年に着工することが予定されており、TSMCを中心とした町の発展は今後も続くと予想できます。
(参照:讀賣新聞:「TSMC第1工場南側に新工業団地、2031年度に分譲開始へ…熊本県菊陽町が農地や林地24haを転用」)
まとめ
本記事では、TSMCの進出によって大きく状況がわかっている熊本県の外国人労働者の人口推移や支援状況、受け入れ体制などについて詳しく紹介しました。
TSMCの日本進出の影響もあり熊本県および熊本県の企業は、外国人労働者の受け入れ・支援の強化を進めていますが、それでも外国人労働者が日本で生活したり、転職先を探すことについては大きな課題が残されています。
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