不正就労には要注意!留学生のアルバイトの時間制限や税金、働き方のルールを解説

留学生のアルバイトについて、詳しく理解は出来ていますか?
知らない間に不正就労をしていたなんてことにならないように、最後までしっかり確認してください!

また、このような悩みや不安はありませんか?

「アルバイトに時間制限はある?」

「週28時間と40時間のどちらで制限がかかる?」

「アルバイトするときの注意点を知りたい」

留学生のアルバイトには、時間制限や税金関係などのルールが厳しく定められており、ルールを破ってしまうと在留期間が更新されないといった大きなトラブルに発展する可能性もあるため、日本でアルバイトするための基本的なルールをしっかりと理解することが大切です。

本記事では、留学生のアルバイトの働き方のルールや働くうえでの注意点などについて詳しく解説します。

留学生のアルバイトの基本的な働き方のルール

留学生のアルバイトの基本的な働き方のルールは以下のとおりです。

  • 資格外活動許可を受ける必要がある
  • 週28時間もしくは週40時間の時間制限がある
  • 所得に応じた税金を支払う必要がある
  • 勉強するためにアルバイトする場合は税金免除になる可能性がある

それぞれのルールについて、詳しく解説します。

①資格外活動許可を受ける必要がある

留学生が日本でアルバイトするためには、国が発行する「資格外活動許可」という資格が必要になります。

もし「資格外活動許可」を取得しないままアルバイトしてしまうと「不法就労」という扱いになってしまうため、かならず「資格外活動許可」を取得するようにしましょう。

「資格外活動許可」は大きく2種類あり、アルバイトするだけであれば「包括許可」を取得し、インターンシップなどの就業体験をするために週28時間を超える資格外活動がある場合は「個別許可」を取得する必要があります。

「資格外活動許可」は居住地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請する必要があり、中長期在留者は旅券・在留カード、それ以外の留学生は旅券・在留資格証明書などの公的書類が必要となります。

(参照:e-GOV法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)」第19条/出入国在留管理庁「資格外活動許可について」)

②週28時間もしくは週40時間の時間制限がある

留学生のアルバイトの時間制限については、「入管法」という法律によって以下のとおりに定められています。

一週について二十八時間以内(留学の在留資格をもつて在留する者については、在籍する教育機関が学則で定める長期休業期間にあるときは、一日について八時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動

(引用:e-GOV法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)」第19条2項)

簡単に説明すると、通常期間のアルバイトについては1週間に28時間以内のアルバイト、夏休みや冬休みといった長期休暇においては1日8時間、1週間で40時間までアルバイトすることができるということです。

この時間制限は、留学生の目的である”大学で学ぶこと”を疎かにしないための法律となります。

また、1週間は7日間ですが、法定休日が週に1日あるため、実際に労働できるのは1週間に6日間ということも覚えておきましょう。

③所得に応じた税金を支払う必要がある

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留学生のアルバイトであっても、所得(アルバイトの給料)に応じて税金を納める必要があり、所得税は、非居住者と居住者によっても大きく異なります。

「居住者」とは、国内に住所を持っている、もしくは日本に1年以上居住している留学生のことを指し、税率は日本人と同様に所得に応じた金額を納税し、「非居住者」は居住者以外の留学先を指し、税率は一律で20.42%の税金を納める必要があります。

納税に関しては基本的にアルバイト先が源泉徴収という形で納税してくれますので、留学生自ら納税する必要は不要です。

(参照:国税庁:「No.2875 居住者と非居住者の区分」)

④勉強するためにアルバイトする場合は税金免除になる可能性がある

中国・タイ・インドネシア・インドなどから日本に学ぶために留学している方については、以下の条約によって税金が免除になる可能性があります。

  • 日中租税協定第21条
  • 日印租税条約第20条
  • 日タイ租税条約第19条
  • 日インドネシア租税協定第21条

ただし、滞在期間や所得によって制限がかけられる場合もありますので、アルバイト先や公的相談窓口に相談することが大切です。

また、ベトナムやマレーシア、台湾から来日した留学生が日本でアルバイトした場合は非課税にならないため注意が必要です。

(参照:国税庁「学生のアルバイト代」)

留学生のアルバイトで注意すること

留学生のアルバイトで注意することは以下のとおりです。

  • バイト先を学校に伝えておく
  • 大学卒業後に日本で働く場合は早めに相談する
  • 資格外活動違反すると在留期間が更新されない可能性がある

それぞれの注意点について、詳しく解説します。

①バイト先を学校に伝えておく

各大学は留学生のアルバイトについても管理して国に報告することが求められているため、留学生のアルバイト先や毎月のアルバイト時間などを正確に大学に報告する必要があります。

留学生のアルバイトに関するトラブルはよくありますので、トラブルを未然に防ぐという意味でもしっかりと大学に報告するようにしましょう。

(参照:文部科学省「外国人留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底等について(通知)」)

②大学卒業後に日本で働く場合は早めに相談する

大学卒業後に日本の企業に就職する場合、在留資格変更許可申請を行い「就労資格」に変更する必要があるため、日本で就職したいと考えている留学生は大学1年生〜2年生のうちに大学のキャリアセンターなどに相談しておくといいでしょう。

手続きのタイミングや時期については状況によって変わる可能性もありますが、「在留資格変更許可申請」は卒業見込み証明書の提出が必要となるため12月〜3月ごろに行い、「就労資格」への変更許可は卒業証明書が必要となるため3月末〜4月ごろに行うことが一般的です。

(参照:出入国在留管理庁「日本での就職をご希望の留学生の方へ(留学生が就職する際の在留資格に関する手続案内)」)

③資格外活動違反すると在留期間が更新されない可能性がある

入管法によって定められた資格外活動の内容に違反してしまうと、罰金や禁錮などの罰則が与えられるとともに在留期間更新が認められない可能性が高くなってしまいます。

具体的には、日常的に資格外活動違反を行っている場合は「3年以下の懲役もしくは禁固もしくは300万円以下の罰金、又は併科」、それ以外の場合については「1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金、又は併科」と入管法では定められています。

(参照:e-GOV法令検索「出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)」第70条・第73条)

このように、悪意がなくても厳しい罰則が与えられる法律となっているため、アルバイト先や大学などにしっかりと労働状況を報告して、入管法に違反しないようにアルバイトすることが大切です。

留学生のアルバイトに関するよくある質問

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留学生のアルバイトに関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。

Q1.アルバイトで困ったことがある場合の相談先を知りたい

留学生のアルバイトの相談窓口は以下のとおりです。

相談先相談できる内容詳細URL
お住まいの地域の役所など日本での在留に関する様々なことについて、地方公共団体が設置した相談窓口に相談できます。http://www.moj.go.jp/isa/content/930004512.pdf
公的機関の相談窓口困ったことがあったときに無料で相談できる公的機関の窓口です。困ったときに相談できる公的機関です。http://www.moj.go.jp/isa/content/930004234.pdf
外国人在留支援センター(FRESC/フレスク)日本での在留に関するさまざまなことが相談できます。http://www.moj.go.jp/isa/support/fresc/fresc01.html
外国人在留総合インフォメーションセンター入国手続や在留手続などについて相談できます。http://www.moj.go.jp/isa/consultation/center/index.html

このように、日本には留学生の相談窓口がたくさんありますので、アルバイトについて困ったことがあればすぐに相談するようにしましょう。

Q2.留学生のアルバイトに確定申告は必要ですか?

先ほどもお伝えしたとおり、留学生のアルバイトはバイト先が代わりに納税してくれますが、以下にすべて当てはまる留学生は自分で確定申告する必要があります。

  • 年間所得が130万円以上
  • 複数のアルバイト先に勤務している
  • 給与が少ないアルバイト先の収入が20万円を超えている

これらの条件を満たしている場合は確定申告によって納税する必要があるため注意しましょう。

Q3.留学生はアルバイトを掛け持ちできますか?

留学生であってもアルバイトの掛け持ちは可能です。

ひとつの勤務先だとバイトに入れる時間が限られたり、ひとつの仕事しか経験できないため、掛け持ちをすることで給料を増やしたり、さまざまな経験をすることができるでしょう。

ただし、掛け持ちをしたからといって時間制限については緩和されることはありませんので、掛け持ちしたアルバイト先の合計勤務時間が時間制限に収まるように調整する必要があります。

また、バイトを掛け持ちして年間所得が130万円を超えると確定申告の必要があるため、自分で確定申告する、もしくは所得が130万円を超えないように調整する必要があります。

Q4.留学生のアルバイトは社会保険や雇用保険に加入する必要がありますか?

一般的な留学生は社会保険に加入するための所定労働時間を満たさないため、社会保険に加入することができず、本業は学業となるため雇用保険の対象にもなりません。

ただし、アルバイト中に起きた事故などが対象となる「労災保険」については留学生であっても労働者すべてに加入義務があるため、加入する必要があります。

また、全日制の教育機関ではなく通信教育といった夜間部の教育機関に通う場合、「1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがある場合」という雇用保険の条件を満たす場合があるため、雇用保険と労災保険に加入する必要がある場合もあります。

(参照:厚生労働省「雇用保険の被保険者について」)

まとめ

本記事では、留学生のアルバイトの働き方のルールや働くうえでの注意点などについて詳しく解説しました。

留学生のアルバイトは複雑なルールもいくつか存在しますし、ルールを破ってしまうと罰則が与えられたり在留期間が更新されないといったトラブルも想定されますので、自分ひとりで悩んだり判断するのではなく、バイト先や大学、公的機関、役所などで困ったことを相談すると安心です。

ぜひ本記事を参考にして、留学生のアルバイトのルールについてチェックしてみてください。