
皆さんは、熊本県には主に4つの気候区分があることをご存知でしょうか? これから熊本で暮らそうと考えている方にとっては、気候や気温、降水量のデータはとても重要ですよね。
熊本県は九州西部に位置しており、東シナ海から暖かく湿った空気が多く流れ込むため、全体として集中豪雨・ゲリラ豪雨が発生しやすい地域だといえます。
ただし、さまざまな地形・自然に富んだ熊本県では、地域によって気温や降水量はまったく異なるため、自分自身が訪れる予定の地域の気候情報をリサーチすることが大切です。
熊本県内の気候に関する基本情報を知ることで、現地の滞在生活を予想できるでしょう。
本記事では、熊本の気候の4区分や平均気温と降水量、熊本の気候・季節ごとにおすすめの服装についてご紹介します。熊本暮らしを検討している方は必見です。
熊本県には4つの気候区分がある

みなさんは熊本の気候についてどんなイメージをお持ちでしょうか? 実は、一口に「熊本県の気候」といっても、大きく分けて4つの気候区分が存在します。
- 熊本地方(熊本市や宇城市、玉名市など)
- 阿蘇地方(阿蘇市や小国町、高森町など)
- 球磨地方(人吉市や球磨村など)
- 天草・芦北地方(天草市・上天草市など)
九州全体として温暖なイメージがあるかもしれませんが、熊本地方や阿蘇地方、球磨地方は意外にも冬の寒さが厳しい気候。その一方で、天草・芦北地方は冬でも比較的温暖です。
このように、県内でも気候のグラデーションがある熊本の気候をチェックしましょう。
1.熊本地方(熊本市や宇城市、玉名市など)

熊本地方は、熊本県の中心部に位置している地域です。西部は広大な平野から構成されている内陸性気候で夏は蒸し暑く、冬は寒い日が続きます。また、風が弱く降水量が多いです。
九州の中でも高温多湿な地域で、夏のじめじめとした蒸し暑さには特に注意が必要です。
年間を通して寒暖差の大きい地域なので、季節ごとに服装をよく考える必要があります。
その一方で、東部は丘陵地帯や山間部が多い地域です。夏は西部と比較すると冷涼で、冬は厳しい寒さとなります。場所によっては積雪が見られる地域もあるでしょう。
2.阿蘇地方(阿蘇市や小国町、高森町など)

阿蘇地方は、熊本県の東部・東北部に位置している地域です。九州本土最高峰の1700m級の中岳を擁するくじゅう連山や阿蘇五岳が隣接しており、海抜高度は400mを超えます。そのため、夏は比較的涼しく、冬の寒さが厳しい山岳気候(山地型気候)です。
また、年間の降水量がもっとも多く、厳しい自然環境の変化を否応なく体感するでしょう。
ただし、熊本県内では涼夏を過ごせる地域とあって、春夏シーズンの観光が人気です。
3.球磨地方(人吉市や球磨町など)

球磨地方は、熊本県の南部・南東部に位置している地域です。球磨川上流域から下流域にかけて開けている人吉盆地を中心とした、内陸性・山地型気候の特徴を示しています。
標高1000mを超える山地もあり、山地型気候が見られる一方で、山々に囲まれた地域では内陸性気候が顕著です。冬の時期には積雪が見られることもあります。
熊本地方と阿蘇地方のちょうど中間的な立ち位置の気候だと覚えておきましょう。
4.天草・芦北地方(天草市・上天草市など)

天草・芦北地方は、熊本県の南西部に位置している地域です。天草諸島や南部の水俣市などが該当します。東シナ海や八代海、有明海、天草灘に面した温暖な海洋性気候です。熊本県内では年間の寒暖差がもっとも小さく、冬は平均気温10〜13℃と過ごしやすくなっています。
夏は熊本地方や球磨地方並みですが、冬の厳しい寒さがないのは大きなポイントです。
熊本県内で冬も比較的暖かい地域で暮らすなら、天草・芦北地方を選ぶのがよいでしょう。
熊本の平均気温と降水量

熊本県内の気温・降水量の年間平均は以下のようになっています。
月 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 平均気温(1991~2020年) | 年間降水量(1991~2020年) |
平均 | 22.2℃ | 12.8℃ | 17.2℃ | 2007mm |
1月 | 10.7℃ | 1.6℃ | 6.0℃ | 57.2mm |
2月 | 12.4℃ | 2.6℃ | 7.4℃ | 83.2mm |
3月 | 16.1℃ | 5.9℃ | 10.9℃ | 124.8mm |
4月 | 21.4℃ | 10.6℃ | 15.8℃ | 144.9mm |
5月 | 26.0℃ | 15.6℃ | 20.5℃ | 160.9mm |
6月 | 28.1℃ | 20.2℃ | 23.7℃ | 448.5mm |
7月 | 31.8℃ | 24.2℃ | 27.5℃ | 386.8mm |
8月 | 33.3℃ | 24.8℃ | 28.4℃ | 195.4mm |
9月 | 30.1℃ | 21.2℃ | 25.2℃ | 172.6mm |
10月 | 25.0℃ | 14.9℃ | 19.6℃ | 87.1mm |
11月 | 18.8℃ | 8.8℃ | 13.5℃ | 84.4mm |
12月 | 12.9℃ | 3.4℃ | 8.0℃ | 61.2mm |
7~8月にかけてがもっとも蒸し暑く、1~2月がもっとも寒い時期です。また、6~7月にかけてがもっとも降水量が多く、12~1月がもっとも降水量の少ない地域だといえます。
特に、阿蘇地方と球磨地方の山間部では降水量が多く、年間3000mm以上の降水量がある地域も。実際に2020年の集中豪雨では、球磨川流域で甚大な災害被害が発生しています。
九州の近隣県と熊本の平均気温・降水量の比較は以下のとおりです。
県別 | 年間平均気温 (1991~2020年) | 年間平均降水量 (1991~2020年) |
熊本県 | 17.2℃ | 2007mm |
福岡県 | 17.3℃ | 1686.9mm |
長崎県 | 17.4℃ | 1894.7mm |
佐賀県 | 16.9℃ | 1951.3mm |
大分県 | 16.8℃ | 1727mm |
鹿児島県 | 18.8℃ | 2434.7mm |
宮崎県 | 17.7℃ | 2625.5mm |
こうして周辺の県と比較してみると、九州内では平均的な気温で、南九州の宮崎県・鹿児島県に次いで年間降水量が多い地域であると分かります。
ここからは、4つの気候区分ごとに平均気温と降水量のデータ・特徴をご紹介します。
1.熊本地方
熊本地方は大陸性気候となっており、温暖湿潤で年間の寒暖差が大きいエリアです。
熊本市 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 平均気温 | 年間降水量 |
1月 | 10℃ | 2℃ | 6℃ | 52.2mm |
2月 | 11℃ | 3℃ | 7℃ | 84.4mm |
3月 | 15℃ | 6℃ | 10℃ | 128.1mm |
4月 | 20℃ | 11℃ | 16℃ | 151.4mm |
5月 | 25℃ | 16℃ | 20℃ | 178.2mm |
6月 | 27℃ | 20℃ | 24℃ | 355.8mm |
7月 | 30℃ | 24℃ | 27℃ | 309.5mm |
8月 | 32℃ | 24℃ | 28℃ | 180.9mm |
9月 | 28℃ | 20℃ | 24℃ | 174.1mm |
10月 | 24℃ | 14℃ | 19℃ | 101.6mm |
11月 | 10℃ | 9℃ | 13℃ | 75.9mm |
12月 | 12℃ | 4℃ | 8℃ | 53.6mm |
2.阿蘇地方
阿蘇地方は、夏は比較的涼しい一方で、冬は厳しい寒さが特徴のエリアとなっています。
阿蘇市 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 平均気温 | 年間降水量 |
1月 | 6℃ | -2℃ | 1℃ | 46.7mm |
2月 | 7℃ | -1℃ | 3℃ | 79.9mm |
3月 | 11℃ | 2℃ | 6℃ | 126.0mm |
4月 | 17℃ | 7℃ | 12℃ | 149.2mm |
5月 | 21℃ | 12℃ | 16℃ | 176.0mm |
6月 | 24℃ | 17℃ | 20℃ | 352.0mm |
7月 | 27℃ | 20℃ | 24℃ | 311.8mm |
8月 | 28℃ | 24℃ | 20℃ | 181.5mm |
9月 | 25℃ | 17℃ | 21℃ | 177.1mm |
10月 | 20℃ | 11℃ | 15℃ | 102.7mm |
11月 | 14℃ | 5℃ | 9℃ | 74.8mm |
12月 | 8℃ | 0℃ | 3℃ | 50.1mm |
熊本県の平均気温よりも4~5℃ほど低く、夏は冷涼で冬は厳冬だと分かるでしょう。
3.球磨地方
球磨地方は、内陸性・山地型気候のハイブリッドで、熊本地方・阿蘇地方の中間的な立ち位置です。阿蘇地方と同等かそれ以上の降水量があります。
八代市 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 平均気温 | 年間降水量 |
1月 | 10℃ | 3℃ | 6℃ | 54.8mm |
2月 | 12℃ | 4℃ | 8℃ | 88.4mm |
3月 | 16℃ | 7℃ | 11℃ | 132.8mm |
4月 | 20℃ | 12℃ | 16℃ | 158.1mm |
5月 | 24℃ | 16℃ | 20℃ | 186.4mm |
6月 | 27℃ | 21℃ | 24℃ | 373.0mm |
7月 | 30℃ | 24℃ | 27℃ | 306.0mm |
8月 | 31℃ | 24℃ | 28℃ | 183.5mm |
9月 | 28℃ | 21℃ | 25℃ | 179.1mm |
10月 | 24℃ | 15℃ | 19℃ | 106.7mm |
11月 | 18℃ | 10℃ | 14℃ | 78.2mm |
12月 | 13℃ | 5℃ | 8℃ | 56.1mm |
4.天草・芦北地方
天草・芦北地方は、東シナ海や八代海、有明海に面した温暖な気候が特徴です。冬の期間でも比較的暖かく過ごせる点が、そのほかの地域とは一線を画しています。
天草市 | 平均最高気温 | 平均最低気温 | 平均気温 | 年間降水量 |
1月 | 10℃ | 5℃ | 8℃ | 55.2mm |
2月 | 11℃ | 6℃ | 8℃ | 86.6mm |
3月 | 15℃ | 9℃ | 11℃ | 131.4mm |
4月 | 19℃ | 13℃ | 16℃ | 159.6mm |
5月 | 23℃ | 17℃ | 20℃ | 183.8mm |
6月 | 26℃ | 21℃ | 23℃ | 340.5mm |
7月 | 29℃ | 24℃ | 27℃ | 281.2mm |
8月 | 30℃ | 25℃ | 28℃ | 184.8mm |
9月 | 28℃ | 22℃ | 25℃ | 175.4mm |
10月 | 23℃ | 17℃ | 20℃ | 102.1mm |
11月 | 18℃ | 12℃ | 15℃ | 82.6mm |
12月 | 13℃ | 7℃ | 10℃ | 59.4mm |
このように、そのほかの地域よりも冬の時期でも温暖であることが分かるでしょう。
熊本の気候・季節ごとにおすすめの服装

熊本の気候は寒暖差が激しい地域が多いのが特徴です。6~8月の夏の時期には雨の日が多く、高温多湿のじめじめした日が続きます。加えて、天草・芦北地域以外の冬の時期は寒さが厳しいことが多く、地域によってベストな服装は異なるのです。
そのため、季節と場所に応じた服装を考えることが必須です。シーズンごとに適切な服装を着るようにして、熊本旅行や熊本での生活を楽しんでみてはいかがでしょうか?
1.春におすすめの服装

熊本県の春(3~5月)の平均気温は、10.9~20.5℃となっています。3月・4月はまだまだ肌寒い日も続きますが、5月は長袖や半袖一枚で過ごせる春の陽気がやってきます。
熊本地方や天草・芦北地方を中心として、降水量が少なく過ごしやすいシーズンです。
月ごとにおすすめの服装は以下のとおりとなっています。
- 3月・・・コートやジャケット、ジーンズ、セーター
- 4月・・・セーターやパーカー、ブラウス、ジーンズ、長袖カットソー
- 5月・・・長袖シャツ、ブラウス、半袖カットソー、ロング丈のパンツ
3月は徐々に気温が上がり始めますが、朝晩の冷え込みが激しいのでコートやジャケット、ジーンズ、上から羽織れるセーターなどは必須です。特に阿蘇地方や球磨地方では寒さが厳しいので、防寒対策をしっかりとしておきましょう。
4月はもっと暖かくなりますが、それでも羽織れるブラウスやパーカー、セーターは必須。日中は軽く羽織る程度でOKですが、朝晩の冷え込みには注意が必要です。
5月は暖かくなって、日中は半袖のシャツや長袖のシャツ一枚で過ごせる日も続きますが、念のため羽織れるブラウスやセーターを持っておくと安心です。
2.夏におすすめの服装

熊本県の夏(6~8月)の平均気温は、23.7~28.4℃となっています。梅雨の時期は一年のうちもっとも降水量が多くなっており、高温多湿の気候に適応する必要があります。
ついさっきまでじめじめした暑さを感じたと思ったら、今度は降り続く雨で肌寒さを感じるなど、夏とはいえ体温調節が難しいと感じられる時期が続くのがポイントです。
東京よりも平均気温と湿度が高いので、日中に外出する際は水分をしっかりと補給するようにしましょう。UVカットの日焼け止めや日傘を使うことも忘れずに。
熊本の梅雨の時期と真夏におすすめの服装は以下のとおりです。
- 6~7月(梅雨)・・・半袖やノースリーブ、シャツ、ブラウス、薄手の羽織
- 8月(真夏)・・・半袖や半ズボン、シャツ、ブラウス、サングラス、帽子
熊本には盆地が多く、真夏の直射日光や暑さは厳しいものがあります。半袖・半ズボンなどの過ごしやすい服装に加えて、サングラスや帽子なども必須です。便利なネッククーラーや冷却スプレーなどのアイテムも有効活用して、熱中症対策を万全にしておきましょう。
また、雨や日光に備えて日傘兼用の折りたたみ傘があると、梅雨も真夏も大活躍します。
3.秋におすすめの服装

熊本県の秋(9~11月)の平均気温は、13.5~25.2℃となっています。9月から徐々に暑さが落ち着き始め、降水量も少なくなってきます。台風の上陸も少ないシーズンなので、春シーズンと同様に熊本県内を観光するのにピッタリのシーズンだといえるでしょう。
秋晴れと紅葉が美しいシーズンですが、10~11月になると朝晩の寒暖差が厳しいです。
月ごとにおすすめの服装は以下のとおりとなっています。
- 9月・・・半袖・五分袖のトップス、シャツブラウス
- 10月・・・長袖のトップスや薄手のニット
- 11月・・・長袖のカットソー、シャツブラウス、カーディガン、ニット
9月はまだ残暑が厳しいですが、朝晩の最低気温が東京を下回るほどです。長袖や上から羽織るブラウスなども用意しておくと安心です。10月以降は秋らしい長袖のトップスやニット、カーディガン、ニット、ジャケットなどが大活躍するでしょう。
4.冬におすすめの服装

熊本県の冬(12~2月)の平均気温は、6.0~8.0℃となっています。九州には温暖なイメージがあるかもしれませんが、熊本は天草・芦北地域を除いて寒暖差が激しい地域です。
1月・2月は氷点下になることも珍しくない阿蘇地方や球磨地方もあるため、防寒対策は必須です。冬の熊本旅行や熊本での暮らしに備えて冬用の衣類を準備しましょう。
- 12~2月・・・長袖カットソーや厚手のコート・マフラー、手袋、インナー
九州だから温暖だろうというステレオタイプは捨てて、冬の東京や東北などで着込む服装を意識し、しっかりと防寒対策をした上で熊本の街を歩くと、かぜを引く心配もありません。
まとめ:熊本の気候情報を押さえて渡航に備えよう!

この記事では、熊本の4つの主な気候区分(熊本地方・阿蘇地方・球磨地方・天草芦北地方)や平均気温・平均年間降水量、季節別におすすめの服装についてご紹介しました。
盆地に広がる熊本市を中心とした気候は大陸性気候です。東シナ海や八代海からの温暖で湿潤な空気が流入し、この地域特有のじめじめとした暑さや大雨をもたらします。
また、山に囲まれた阿蘇地方や球磨地方は、寒暖差が激しく冬には氷点下になることも。その一方で、天草・芦北地方は年中温暖な気候でほかの地方とは一線を画しています。
熊本は朝晩や夏冬の寒暖の差が激しいため、季節に応じた服装選びをすることが重要です。
熊本への旅行や暮らしで利用する地域の気候上の特性をチェックして準備してみては?
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